ミーム思想
ゲノムに対して、ミームという概念がある。
一般的に言われているのが、文化・思想の伝搬であろうか。
ここで述べたいポイントは、遺伝的なものがすべてではないという点である。
たとえば、上杉謙信で有名な上杉家をみてみよう。
そもそも、上杉家は藤原氏の末裔で、
足利尊氏の母親が上杉氏出身であったために、
室町時代にに入り、権勢をふるうようになる。
具体的には、関東管領として、鎌倉公方をつとめる、足利氏のサポートにあたるという重職についた。
なお、実際は京の足利将軍家と通じ、鎌倉公方の監視としての業務を司っていたようである。
上杉家はその後4つに分裂し、関東で小競り合いを続けるが
北条氏の台頭もあり、関東での地盤を失ってしまう。
そこで、越後の守護代長尾輝虎に上杉家を継承させることで、
上杉氏の存続を図っている。
つまり、ここで上杉氏の遺伝的な繋がりは完全にたたれてしまっている。
さらに、長尾輝虎改め上杉謙信は生涯を独り身で通したために跡取りがおらず
養子の上杉景勝によって上杉家は継がれることとなる。
(江戸時代には赤穂浪士に討ち果たされた吉良上野介の子孫を養子に迎え入れたりしている)
日本の歴史はどちらかというと血筋にこだわると思われがちであるが、
大事なのは一族であり、家であるので、祭祀を執り行うものを存続させることこそが
もっとも重要視されてきた。
さて、ミームに戻る。日本の歴史的にみても自分の子供であると言うことは
絶対ではない。その文化を受け継がせられるか、人が死んでもその人がいたことによって何を伝えられたかが重要であり、
遺伝的な特徴が絶対ではないと信じたいのが私の意見である。
遺伝が大事というのは生物としてはすごくよくわかるのであるが、
人としては少し寂しいのではないかとおもう。