榎本武揚の半生を描いた小説。
御家人の家に生まれ、
満32歳で独立国の統領になり得るその人望、才能、リーダーシップがすごい。
この若さで軍人として活躍したのは、足利尊氏と徳川家康くらいではなかろうか?
主戦派として、参戦の判断が遅かったのは事実であろう。
国内最強の海軍を要して、それを最後に生かし切れなかったのが残念。
嵐嵐嵐で、ついていなかったのは事実だが・・・
宮古湾海戦は小競り合いではあるけれど、見所が多い戦いだと思う。
嵐がなく、3隻の軍艦で挑めていた場合の結果を想像するだけでわくわくである。
ただし、本人は明治政府に登用されて、国家の発展に尽くしている。
そういう意味で、武士としては土方歳三の方が数段武士らしいが、
榎本武揚の方が、日本への貢献度は高いと言えるだろう。
小説では切腹を止められた事になっており、ほんとうか?と感じたが、
切腹していたら、楠木正成と同じくらい人気があったかもしれない・・・
切腹未遂は本当らしい。止めに入った人は指に不虞が残ったとか。
そして、それを気にして後々まで面倒を見たらしい。
明治政府からみたら反逆者なのと、勝ち戦の実績が少ないので、
慶応の楠木正成にはなれなかったと思うが。