日本の城は美しいと思う。
中国の城は(どっちかというと実用的なのだが)残念ながら壁でしかない。
万里の長城も言ってしまえば壁である。
ドイツとかだとまた別なのだろうが、日本の城の一番美しいところは
三の丸、二の丸、本丸へと続く石垣であると思う。
石垣の上に土塀があったりすると格別である。
特に安土桃山時代以降は殿様の象徴としての意味もあったので、
幾層にも分かれてそびえている構造は一層の高貴さを際立たせるのであろう。
ところで、日本にはごまんと城や城趾が残っているものの、
残念ながらパーフェクトな城というのは存在しない。
個人的な意味でパーフェクトというと、すなわち、
・実戦の歴史
・築城者が有名人
・天守閣が現存
・規模が大きい
・見晴らしがいい(見晴らしにこだわったのは信長と秀吉と後生の人だけらしいので)
・保存状態がいい
などの条件をすべて満たすものは存在しない。
個々の城が特徴を持ち、個性を醸し出す、また地域の特色を表す。これもお城の魅力ではないだろうか?
この勝手な基準を考えると、もっとも惜しいのは熊本城であろう。
西南戦争の折りに、落城して反乱軍に使われることを恐れた、(籠城側の)新政府軍によって、
焼かれてしまったらしいのであるが、結局落城せずに耐え抜いたことを考えても
もったいなかったと言わざるを得ない。
というか、秀吉が全国統一した後のお城で、実戦で使われてなおかつ落城しなかったのは
上田城と熊本城くらいしか無いそうだ。
近世城郭は防戦に向かなかったというよりは、実戦が少なかったことと、
堅固すぎるが故に攻められなかったことが原因であると考えたい。
惜しかったという意味で、次点は姫路城(歴史的に弱いが建物としてはパーフェクト)と
名古屋城(空襲で焼けた!)であろうか
興奮を覚えるのは、こぢんまりとした城ですけどね。