恩田陸の作品
天才の書き方、描き方っていろいろあって、
斬新な描き方されるとドキッとするのだが、
チョコレートコスモスもまさにそんな感じ。
舞台のオーディションの話で、親しみがある分野ではないが、
一世を風靡する、売れっ子の東響子と
ずぶの素人の佐々木飛鳥の物語。
響子という天才との対比で、飛鳥という超天才を描く、
意図せずにかどうかは分からないけど、途中まで飛鳥の心情は
書かれておらず、不気味な天才という形である。
しかし、彼女の内面が描かれ出すと、
自分自信や周りの評価が見えておらず(でも、舞台上では周りが見えるという設定)
悩める人物であるというのがまたおもしろい。
そして、最後に「この世の中に、天才っているんですねえ」と
飛鳥の視点で言わせる・・・読者が苦笑しつつ、
それまでの飛鳥の描写を見ると納得してしまう(というのは巽が代弁してる)。
誰が選ばれるかは、途中から何となく分かる展開だけど
間の描写がすばらしい。
いかんせん、続編があるようなので、期待。超期待!